ソウルにも出没!韓国の愛され厄介者「コラニ」と「カチ」の意外な素顔
あまりに日常的、でも実は世界的珍獣?「コラニ」

韓国ドラマの田舎道を車が走るシーンや、ソウルの漢江(ハンガン)沿いを散歩するVlogなどで、ふと画面を横切るシカのような動物を見たことはありませんか? それ、おそらく「고라니(コラニ)」です。日本語では「キバノロ」と呼ばれるこの動物、韓国ではあまりにもありふれた存在。最近ではソウル市内の江南区や瑞草区の川沿いでも頻繁に目撃されるほど、人里近くで暮らしています。
しかし、このコラニ、実は韓国(朝鮮半島)の外ではほとんど見ることができない、国際自然保護連合(IUCN)が指定する絶滅危惧種(VU)なのです。全世界の個体数の大半が朝鮮半島に集中しているという、非常に偏った分布をしています。日本では、千葉県などで特定外来生物として定着した個体群がいますが、全国的に見られる動物ではありません。日本のシカとの大きな違いは、オスもメスも角を持たない代わりに、オスには牙のように発達した犬歯があること。この牙から「キバノロ」の名前がついています。見た目はバンビのように愛らしいのですが、そのギャップがまた魅力です。
水辺を好み、泳ぎも得意なことから英語では「Water Deer」と呼ばれるコラニ。しかし、韓国での彼らのイメージは少し複雑です。その個体数の多さから、農作物を食い荒らす「害獣」としての一面が強く、年間10万頭以上が駆除対象となっています。また、道路への飛び出しによる交通事故、いわゆる「ロードキル」も年間数万件発生しており、ドライバーにとっては悩みの種。非常に臆病でストレスに弱い性格で、「自分の気性に負けて死んでしまう」とまで言われるほど繊細な生き物でもあります。可愛らしい見た目とは裏腹に、韓国の人間社会との間には常に緊張関係が存在しているのです。
幸運の鳥?それとも厄介者?「カチ」の二つの顔

もう一羽、韓国を象徴する生き物が「까치(カチ)」、日本語でいう「カササギ」です。日本では九州北部などで見られる少し珍しい鳥ですが、韓国では都市部から農村まで、日本のカラスのようにどこにでもいる非常にポピュラーな鳥です。「カチが鳴くと嬉しい客が来る」ということわざがあるように、古くから幸運を知らせる「吉鳥」として人々に親しまれてきました。その白と黒の美しいコントラストと、長い尾羽が特徴的です。韓国の民画や昔話にも頻繁に登場し、文化的に深く根付いています。
しかし、そんなカチも現代社会では少し事情が異なります。特に問題になっているのが、電柱や送電鉄塔に小枝などを大量に運び込んで巨大な巣を作ること。これが原因で停電が起きることもあり、電力会社は巣の撤去に追われています。また、「カァーカァー」というよりは「カシャカシャ」「カチカチ」と聞こえる甲高い鳴き声が、人によっては騒音と感じられることも。吉鳥として愛されてきた歴史とは裏腹に、現代の都市生活においては、コラニ同様、少し厄介な存在と見なされることもあるのです。
面白いのは、日本のカササギの由来です。現在、日本に定着しているカササギは、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、武将が朝鮮半島から持ち帰ったものがルーツだという説が有力です。つまり、もとは同じ鳥。しかし、それぞれの国で全く異なる立ち位置にいるというのは、非常に興味深い点です。
韓国カルチャーの中で見つけるコラニとカチ
これら二つの動物は、韓国の現代カルチャーにもユニークな形で登場します。コラニはその独特な鳴き声(まるで人の叫び声のようにも聞こえる)が有名で、YouTubeなどで「고라니 소리(コラニの声)」と検索すると、たくさんの動画が見つかり、ネットミームとしても親しまれています。また、バラエティ番組で俳優が「韓国を象徴する動物は?」と聞かれ、トラではなくあえて「コラニ」と答えて笑いを誘うなど、その「身近すぎる珍獣」というキャラクターが愛されています。
一方のカチは、今でも縁起の良いモチーフとしてデザインに使われたり、企業のロゴになったりしています。韓国を旅行する際は、ぜひ電柱の上を見上げてみてください。驚くほど大きなカチの巣が鎮座しているのを見つけられるはずです。それは、近代的な都市の風景と、古くから続く自然との共存(あるいは衝突)を象徴する光景かもしれません。
害獣、厄介者としての一面と、文化的シンボル、愛すべきキャラクターとしての一面。コラニとカチは、韓国の自然と人間との複雑でリアルな関係を映し出す鏡のような存在です。次に韓国のドラマや映画を見るとき、あるいは現地を訪れる機会があれば、ぜひこのユニークな隣人たちの姿を探してみてください。きっと、韓国という国をより深く理解するきっかけになるはずです。
💬 コメント
最初のコメントを書いてみましょう。